最近周りにFUJIFILMのカメラにしようと考えてる人が結構多いので、FUJIFILMユーザとしてそれぞれのシリーズの特徴をまとめてみました。
対象とする人は「一眼レフカメラが初めての人」や「気軽に写真を楽しみたい人」「フィルムカメラのサブ機にしたい人」なので、「画質がどう」とか「AF性能がどう」とか細かい数値的な話は思い切って省きます。
たくさんあるモデルの中で、それぞれがどういう特徴があって、どういう人に向いているのか、という点に焦点をあてて比較してみました。
FUJIFILMのカメラ欲しいけど、一体どれにしたらいいのかと悩んでる人の参考になれば幸いです!
比較対象モデル
2023年4月現在で手に入る最新モデルを中心に比較。
GFXシリーズとX-Hシリーズは、かなりはっきりとした目的をもった人が使うカメラなので、今回は比較からは外します。
たくさんあるXシリーズの中からどれを選ぶか、が目的なので各シリーズの新旧モデルの違いについてはここでは深掘りしません。
比較対象(新規販売終了しているモデルもあり)
- X-Pro3(生産終了)
- X-T5
- X-T4(生産終了)
- X-S10
- X-T30Ⅱ(生産終了)
- X-E4(生産終了)
「X-T5」と「X-S10」以外は販売終了になってるようなので、メーカーでラインナップを再編しようとしてるのかもしれません。
共通項目
FUJIFILMのカメラは上位モデルや入門モデルという分類はあるものの、基本となる性能は統一されていて、写りに関しては同世代モデル間でほぼ差がありません。
操作系の違いやプラスαの付加機能でシリーズ分けされていると言っていいと思います。まず各モデルで共通となっている部分がこちら。
レンズ交換式
比較対象とした全てのXシリーズでレンズ交換が可能です。
ミラーレス
FUJIFILMのカメラは全てミラーレスで、ファインダーは電子ファインダーになります。(一部モデルで光学ファインダーとのハイブリッド)
センサーサイズ
FUJIFILMのカメラのセンサーサイズは全て「APS-C」になります。(除外したGFXシリーズは別)フルサイズより一回り小さいセンサーになりますが、写りについて不満を感じたことはありません。レンズの画角はフルサイズ換算すると約1.5倍になります。(50mm表記のレンズは76mmになる、フルサイズでの50mmが欲しいなら33mmのレンズ)
フィルムシミュレーション
FUJIFILMのカメラを選ぶ理由の第一と言ってもいい「フィルムシミュレーション」。フィルムの色味を再現すべく搭載された機能は、撮って出しでも十分楽しめます。この「フィルムシミュレーション」も全てのシリーズに搭載。但し、一部のモデルでしか使えないシミュレーションもあるので、どうしても使いたい色味がある場合は注意。
各シリーズの違い
細かい数値ではなく、特徴的な付加機能や操作系の違いに焦点を当てて比較してみます。
まずは選定の基準になりそうな項目をまとめた比較表を見てもらうのが分かりやすいかと思います。その後、それぞれの特徴について詳細に触れていきます。
比較表
アドバンテージになりそうなところは太字にしています。
表の右が見えない時はスライドできます→→→
X-Pro3 | X-T5 | X-T4 | X-S10 | X-T30Ⅱ | X-E4 | |
参考価格 | ¥228,000 | ¥230,000 | ¥215,000 | ¥120,000 | ¥160,000 | ¥180,000 |
画素数 | 2610万 | 4020万 | 2610万 | 2610万 | 2610万 | 2610万 |
記録メディア | SDカード デュアル | SDカード デュアル | SDカード デュアル | SDカード | SDカード | SDカード |
ファインダー | 光学/電子ハイブリッド | 電子 | 電子 | 電子 | 電子 | 電子 |
アイカップ交換 | × | ◯ | ◯ | × | × | × |
液晶モニター | チルト式 | 3方向チルト式 | バリアングル | バリアングル | チルト式 | チルト式 |
動画 | 最大4K/30p | 最大6.2K/30p | 最大4K/60p | 最大4K/30p | 最大4K/30p | 最大4K/30p |
バッテリー | NP-W126S | NP-W235 | NP-W235 | NP-W126S | NP-W126S | NP-W126S |
重量 | 497g | 557g | 607g | 465g | 378g | 364g |
サイズ | 幅:140.5mm 高さ:82.8mm 奥行:46.1mm(最薄部34.8mm) | 幅:129.5mm 高さ:91.0mm 奥行:63.8mm(最薄部37.9mm) | 幅:134.6mm 高さ:92.8mm 奥行:63.8mm(最薄部37.9mm) | 幅:126.0mm 高さ:85.1mm 奥行:65.4mm(最薄部32.9mm) | 幅:118.4mm 高さ:82.8mm 奥行:46.8mm(最薄部31.9mm) | 幅:121.3mm 高さ:72.9mm 奥行:32.7mm(最薄部) |
手ぶれ補正 | × | ◯ | ◯ | ◯ | × | × |
防塵防滴 | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | × |
フィルムシミュレーション | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー ノスタルジックネガ ブリーチバイパス | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー ブリーチバイパス | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー ブリーチバイパス | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー ブリーチバイパス | PROVIA Velvia ASTIA クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ セピア ACROS ETERNA クラシックネガ モノクロームカラー ブリーチバイパス |
デュアルスロット
記録メディアを2枚させるので、同時記録すればメディアの不具合などのトラブルに対する備えができます。大事な撮影を頼まれたりすることがあるなら、あった方がいい機能です。
アイカップ
ファインダー周りのアイカップが交換できるモデルとできないモデルがあります。筆者は深いアイカップでしっかりと光を遮って被写体に向かい合いたいので、アイカップが浅いモデルは苦手です。
背面液晶
チルト式とバリアングル式に分かれます。自撮りや動画撮影をする場合はバリアングルが便利です。チルト式はレンズとの軸がずれないので、写真撮影の用途だけでいい人に好まれます。
バッテリー
バッテリーは1世代前の「NP-W126S」と最新の「NP-W235」に分かれます。「NP-W235」は容量がアップしています。ミラーレスカメラはファインダーが電子式なので消費電力が大きく、バッテリー容量が多いことに越したことはありません。
サイズと重さとグリップ
サイズと重さは大きな要素です。多少大きくて重くても気にならないのか、極力軽くて小さい方がいいのか。カメラを持ち歩く気にならなければせっかくカメラを手に入れても意味がありません。
また、グリップも重要です。グリップが深い方がしっかりカメラを保持できますが、手が小さい人には大きなグリップはストレスです。ただ、大きなグリップを小さくすることはできませんが、小さなグリップをアクセサリーで大きくすることはできます。
手ぶれ補正
ボディ内で手ぶれを補正してくれる機能です。便利ですが必ずしも必要というわけではありません。望遠レンズを使う場合や、三脚が使えない場所、光が足りなくてシャッタースピードを上げられない場合などにはとても助かります。
防塵防滴
登山など雨に濡れる可能性がある状況で使うなら、防塵防滴機能は大きなメリットです。ただ、レンズ側も防塵防滴でないとあまり意味がありません。
操作系
スペック比較表では分かりませんが、モデルによって操作性の快適度がかなり違います。一つのボタンやダイヤルで、一つの機能を操作できるかどうかで操作性は大きく変わります。入門モデルだと、ボタンやダイヤルが少なく、同じボタンに複数の機能を割り当てるしかないので操作性は劣ります。
この辺の話は別記事で詳しく書いています。
上位モデルは、撮影態勢のまま片手でシャッタースピードやISOなど各種設定を変更できるような設計になっています。フォーカスカーソルを動かすための専用レバーなんかも上位モデルに搭載されます。
操作系でいうと快適なのは、「X-Pro3」「X-T5」「X-T4」などになります。ただ、上位モデルの便利さを知らなければ、それで済む面はあります。
各モデル考察
X-Pro3
メーカーが「万人向けではない」と公言するくらいターゲットを絞ったモデル。レンジファインダーがよい、とかこの形が好き、などのこだわりがなければ積極的に選ぶ理由はあまりないです。
X-T5
スペック、操作系共に一番バランスが取れているモデル。画素数が4000万画素になったけど、大きく引き伸ばしたり商業用途でもない限り、趣味で楽しむ分には必須要素ではないと思う。画素数が増えれば1ファイルの容量も増えてしまうのがネック。設定で画素数を抑えることは可能です。
X-T4
「X-T5」の前モデル。販売終了しているが、中古で状態の良いものも出回っているので、サイズ感などが問題なければ一番お勧めできるモデル。
X-S10
「X-T4」との大きな違いは、防塵防滴がないこととバッテリー、操作系くらい。手ぶれ補正搭載なのにサイズは一回りコンパクトで価格も抑え気味。メーカーは入門機をこのモデルに絞り込んでいるような気がする。
X-T30Ⅱ、X-E4
入門機にあたる、小型軽量に重点をおいたモデル。操作系が上級機に比べると使いづらい。グリップが小さいので、手が小さい人には使いやすいかも。
まとめ
以上、各シリーズを比較してみましたが、FUJIFILMのカメラは写りに関する基本性能はほぼ変わらないので、「軽くて小さいのがいい」「悪天候でも使いたい」「動き物を撮るので手ぶれ補正は必須」といった用途から考えて、比較表を参考に何を優先させるかで決めるといいと思います。