通勤と登山道へのアプローチ用にグラベルロードを導入しました。
「グラベルロードとはなんぞや」っていう話はネットにたくさんあると思うので割愛しますが、とてもおおざっぱにいうと「太いタイヤを履けるロードバイク」ってことになると思います。似たようなジャンルにシクロクロスとクロスバイクがありますが、シクロクロスはレースを想定していて、クロスバイクはハンドルがドロップハンドルではなくフラットという違いがあります。
こういったグラベルロードやロードバイク、クロスバイクなどは総称してスポーツバイクと呼ばれてます。
もはやママチャリは電動が主流だけど、自分の力で風を切るスポーツバイクは、ホントの自転車の魅力を味わえるので気になってる方は是非お試しを!
ただ、いざスポーツバイクを購入しようと決心しても、スポーツバイクの用語って慣れてない人には外国語みたいでチンプンカンプンだと思います。
そこで筆者が実際にグラベルロードをお店で購入するまでのやりとりの中で、「初めてグラベルロードの購入を考えてる人が抑えておくと自転車を選びやすくなる」と思われるポイントをまとめてみました。
- 予算
- 用途
- フレーム
- コンポ
- タイヤ
- ホイール
- ペダル
- ダボ穴
❶予算
まず価格の話。価格帯は下は10万くらいから、上を見ると100万くらいまで結構幅があります。
パーツ構成によって価格が変わって、スタンダードといえるパーツ構成のものは20万くらいが目安。
あと、忘れがちですが自転車本体とは別に、細かいメンテ用品や保安用品が必要になってきます。これらの付属品用に別途2万くらい見ておいた方がいいです。
安い買い物ではないので、よく仕組みや特徴を理解した上で選べるよう、この記事を参考にしてもらえると幸いです。
❷用途
そもそもの話なんですが、どんな用途で乗るかによってだいぶ方向が変わってきます。
例えば、【通勤通学でアスファルトしか走らない】という場合は巡航速度を重視したロードバイクが最適ですし、【ゴリゴリの山道を走る】のならば選択肢はMTBしかありません。
なので、【アスファルトを走るけど、ちょっと舗装路を外れたところも走りたい】とか【一般自動車が走れる林道を自転車で走りたい】っていう用途だとグラベルを選んで幸せになれると思います。
❸フレーム
ここからパーツの話になります。
まず、バイクの骨格となるフレームですね。このパーツと次に説明するコンポで全体の価格がほぼ決まってきます。
素材が大きく分けて3種類あります。
- カーボン
- アルミ
- クロモリ
カーボン
軽くて振動吸収性に優れてるけど価格が高い。フルカーボンのモデルは30万くらいからになると思います。デリケートな素材なので取り扱いに神経を使うこともありそう。
アルミ
比較的軽くて価格がお手頃。手が出しやすいのはこの素材だと思います。振動吸収性はあまりよくないとのこと。フロントフォーク(前タイヤを支えてる部分)だけカーボンを使ってるモデルが多いです。
クロモリ(鉄)
比較的重いけど価格はお手頃。細くても強度が保てるので細身のフレームが好みの人にはこちら。あと、素材がしなやかなので長時間のライディングにはクロモリがいいらしいです。グラベルとかツーリング用の自転車はこの素材使ってることが多い。
サイズとカラー
フレームの要素として他に、サイズとカラーがあります。
スポーツバイクはサイズをしっかり合わせないと楽しさが半減しますし、カラーも年によって違ったりするので好みのものがあるとは限りません。サイズとカラーの在庫があればめでたしめでたしですが、折り合いがつかないこともあるので複数候補を検討しておくのがベターかと思います。
余談ですが、カラーは乗り心地にはまったく関係がない要素ですが、不本意なカラーを選んでしまうと経験上、後々後悔する気がします。
❹コンポ
フレームと合わせて、バイクの価格を左右するパーツです。厳密には駆動系のパーツ全て(レバー、ディレイラー、スプロケット、ブレーキ、クランク、チェーン、BB)を指し、各メーカーが一式をセットとしてラインナップしてますが、各パーツを異なるグレードで組んでいることもあるので、初めての方は変速機(レバー、ディレイラー)とブレーキを見るのがわかりやすいかと思います。
このコンポの組み合わせは相性があるので、後々パーツのグレードアップを考えているなら、お店の人にしっかり聞いた方がいいです。
各グレードの目安としてはシマノのロード用コンポが分かりやすいです。基本的にはグレードが上がるほど「軽さ」「精度」「変速幅」が向上します。カッコ内は「GRX」というグラベル専用のコンポが、ロード用コンポのどこに該当するかを示します。
- DURA-ACE >11速 プロ仕様
- ULTEGRA(RX810)>11速 ほぼプロ仕様
- 105(RX600)>11速 スタンダードモデル
- Tiagra(RX400)>10速 エントリーモデル
- Sora >9速 廉価版
- Claris >8速 廉価版
グラベルだと、他にSRAMというメーカーの「APEX1」というコンポがついていることも多いです。
基準となるのはスタンダードモデルの【105(RX600)】になるかと思います。これより下だからといって乗る分には全く支障はありませんが、変速幅が10速と11速では、主にギア比の落差や登りで結構な差が出ます。
変速機
フロントとリアに分かれます。
フロント
グラベルはフロントギアが一枚の「フロントシングル」という規格が主流になってきてます。フロントの変速機がいらないので、構造がシンプルになります。グラベルの用途だとレースをやるわけじゃないので、そんなに緻密なギアチェンジが必要ないんですね。
ただ、ギアの調整幅が狭くなるので、変速時の落差や、より軽いギアが欲しい時などは「フロントダブル」の方が融通が効きます。
平坦地を走ってみた感じでは「シングル」でも全く問題ないと思いましたが、緩い登りがだらだらと続くようなロケーションだと「ダブル」が欲しくなる、とは聞きました。
変速機はハンドルに装着されたブレーキを兼ねたレバーで操作しますが、「フロントシングル」の場合はフロント側の変速が不要なのでただのブレーキレバーが付いてきます。なので「シングル」から「ダブル」に変える場合はこのレバーを変速機付きにする必要があるのでその分コストがかかります。
リア
チェーンを上下に稼働させる「ディレイラー」と歯車が重なった「スプロケット」で構成されます。
グラベルは未舗装路を走る前提なので、チェーン暴れを防ぐためのスタビライザーが付いたディレイラーを搭載しているものを選ぶといいと思います。
スプロケットは先に触れた「11速」とか「10速」に当たる部分です。「速」=「歯車の枚数」で、歯車の枚数が多い方がギア比を細かく選択できるようになります。
「フロントダブル」だと10速でも前後のギアの組み合わせで調整が効きますが、「フロントシングル」の場合はリアのみで調整するしかないので、可能であれば11速を選ぶと良いと思います。
ブレーキ
従来の「リム式」と、最近主流になりつつある「ディスク式」があります。
ディスク式は制動力や、雨天時の制動性に優れているので、グラベルはほぼディスク式となってます。
ディスク式にも2種類あって、「機械式」と「油圧式」があります。油圧式になるとかなりコストがあがります。それぞれの特徴は以下の通り。
機械式
- ブレーキは従来通り手の力でかける。
- ワイヤー式なので特殊なメンテナンスは不要。
油圧式
- 軽い力でブレーキをかけられるので疲れづらい。
- 性能を維持するのに年1程度のオイル交換が必要。
- ホイールを外す際に誤動作を防ぐため、パッドにスペーサーを噛ませる必要あり。
予算が許せば油圧式がお勧めのようですが、筆者は選んだモデルが機械式だったのでそのまま機械式を選びました。
この部分も機械式から油圧式に変更するにはブレーキ周り一式の換装が必要になるので要注意です。
❺タイヤ
グラベルをグラベルたらしめてるのはタイヤかもしれません。未舗装路を走る前提なので太いタイヤを履きます。
タイヤは外径と太さで規格されていて、外径は主に「700C」と「650B」。太さは38C以上のものが多いです。外径が小さい「650B」はその分太いタイヤを履けます。ただし上限はフレームとのクリアランスによるので、その点は要注意です。
構造的には大きく3種類に分かれます。それぞれ対応したホイールが必要。
クリンチャー
最も一般的。タイヤの中にチューブを入れるタイプ。
メンテがしやすいが、きちんと空気圧管理をしないとパンクしやすい。逆にしっかり空気圧管理をしていればそうそうパンクすることはない。パンクしても修理はそう難しくはない。
最初はこの方式がお勧めです。
チューブラー
タイヤとチューブが一体化していて、接着剤や両面テープでホイールに固定するタイプ。
性能はいいがメンテがしづらいのと、対応ホイールが高価。グラベルではほぼ使わないと思います。
チューブレス
密閉性の高いタイヤとホイールの組み合わせで、チューブを使わずに直接空気を充填するタイプ。最近はこれに更に液体シーラントを入れるチューブレスレディという方式が出てきて、パンク耐性が抜群なので、未舗装路へ出るならほぼこれ一択とのこと。
トラブルがあった場合の復旧が面倒な点がデメリットだけど、チューブを入れてクリンチャーとしても使えるので、予備チューブを持っておいて緊急時はクリンチャーとして使うとよいです。
なので、グラベルならチューブレスレディに対応したホイールを装着したモデルがお勧めです。
❻ホイール
タイヤの項で触れた通り、ホイールによって使えるタイヤが変わってくるので、これも重要なポイントです。
グラベルロードと謳っていても、アスファルト寄りのモデルだとホイールがチューブレスに対応していないものが付いていたりするので、ここも見た方が良いと思います。
もちろん後でホイールを交換する前提であれば、気にする必要はないです。
❼ペダル
スポーツバイクは基本的に購入時にペダルがついていません。ユーザが用途に合ったものをそれぞれ選ぶことが多いからですね。これは購入までに選べばいいので後回しでもいいとは思います。
ただ、ペダルは自転車を前に進める直接の動力部分に当たるので、そこそこいい物を選ぶことをお勧めします。具体的にはベアリングが高性能でクルクルとよく回る物を選ぶと抵抗が少ないので効率よく漕ぐことができて疲れづらくなります。
ペダルには2種類あります。
ビンディングペダル
靴にも金具がついていて、ペダルと固定されるタイプです。
脚が固定されるので効率よく漕ぐことができます。慣れればとても快適ですが、専用の靴が必要な点と、うまく金具をはずぜずこけてしまう可能性があります。
フラットペダル
靴と固定する機構はついていないので、普通の靴で乗ることができます。グラベルで乗るなら滑り止めのためのピンがついたタイプがお勧めです。また中央部が緩やかに凹状に湾曲したものが、踏み込みの力を伝えやすいです。
筆者はグラベルではビンディングペダルは使わないつもりだったので、三ヶ島(MKS)のALWAYSというフラットペダルを選びました。
ここのメーカーはベアリングに定評があるようで、クルクルととてもよく廻ります。
❽ダボ穴
荷物を積んで走る前提ならこれも重要なポイントです。通常はドリンクボトル用に2箇所のダボ穴がついていますが、グラベル用のフレームだと荷物積載用にフロントフォークやトップチューブなどあちこちにダボ穴を設けてあるものが多いです。
後から追加するのは難しい要素なので、ここは事前に確認しておくといいと思います。
まとめ
以上、ポイントをまとめてみましたが、これらはあくまでも触りの基礎知識なので、ここを抑えた上でお店のスタッフにアドバイスをもらうといいと思います。
スポーツバイクはネットでも購入できますが、専門的な調整や定期的なメンテナンスをしてあげると長く快適に乗れるので、気軽に相談できて頼りになるお店で購入することをお勧めします。
そして、お店のスタッフによっても得意分野が違います。
舗装路を走るロードバイクと、山道を走るMTBでは、同じ自転車でもかなり乗り方や装備が異なるので、山寄りのグラベルロードを考えてる人は、MTBやグラベルをやっているスタッフを見つけて話を聞くといいと思います。
晴れて購入するモデルが決まったら今度は細かいメンテ用品や保安用品が必要になってきます。これらの付属品用に別途2万前後の予算を見ておいた方がいいです。スポーツバイクに乗る上で必要になる物たちについては別の記事にて紹介します。
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