一眼レフで思うような写真が撮れない?
ついに手に入れたデジタル一眼レフ。
ワクワクしながら写真を撮っていると、場所によって撮れる写真や画面の明るさがコロコロと変わって違和感を感じた経験はないでしょうか?
これ、カメラがオートモードに設定されているからなんです。
オートモードの話
最近のデジタルカメラでは誰でも簡単にカメラを扱えるようにオートモード(A、P、Av(A)、Tv(S)など)が搭載されていて、基本的にはメーカーもそれで撮ることを推奨しています。
オートモードではカメラが明るさを判断して、基準となる明るさに設定を自動的に調整してくれますが、これではカメラに写真を撮らされているようなものです。
せっかく一眼レフを手にしたのだから、コンデジでは撮れないマニュアルモードで思い通りに光をコントロールしながら写真を撮りませんか?
マニュアルモードで写真を撮りましょう
カメラや写真についての話は他にたくさん詳しいサイトがあるのでここではデジタル一眼レフのマニュアルモードで写真を撮るために最低限必要なことを書きます。
たくさんのことを一気に覚えるより、1つ1つのことを順番に覚える方が身につきやすいのではないかと思うからです。
<マニュアルモードで撮るために必要な4つの話>
①露出の話
②シャッタースピード(SS)の話
③絞り(F値)の話
④ISOの話
端的な話をしてしまうと、
・光の調節をカメラに任せる(オートモード)
・光を自分で調節する(マニュアルモード)
ということになります。
露出の話
写真=光画 という言い方もあり、写真を撮るということは、「カメラのセンサーに光を当てる」ことになります。
デジタルカメラにはたくさんの機種がありますが、この「センサーに光を当てる」という写真の基本的な仕組みはどれも同じです。
さて、「センサーに光を当てる」ことを「露出」と言います。
この「露出」を構成する要素が3つあり、「露出」はこの3つの要素の組み合わせで決まります。
センサーにどれだけ光を当てるかを調整するわけです。
<露出を構成する3要素>
・シャッタースピード(以下SS) 例:1/60、1/250、1/1000 等々
・絞り(以下F値) 例:F2.0、F4、F5.6 等々
・ISO 例:ISO100、ISO400、ISO1600 等々
マニュアルモードで撮る、とは、この3つの要素を自分で調節することです。
カメラによっては、SSやF値、ISOの設定をダイヤルやボタンではなくメニューから変更しなければならない機種もあります。
入門向けの機種などは、マニュアルで撮ることを想定していないので、この傾向が強いです。
ですので、これからカメラを買う方や、買い替える方にはマニュアルモードで撮りやすい中級機以上をお勧めします。
カメラをマニュアルモードに合わせて、ダイヤルやボタンでこれらの要素をいじるだけでも撮れることは撮れるんですが、それぞれの要素の意味を知っておくとより理解しやすいので、ここからは各要素を説明します。
シャッタースピード(SS)の話
SSは、センサーの前を遮る幕(シャッター)が開いている時間のことです。
シャッターの速度が遅ければ(10秒とか3秒とか)、センサーに光がたくさん当たるので明るくなります。
シャッターの速度が速ければ(1/250とか1/1000とか)、センサーに当たる光が少ないので暗くなります。
SSの注意点として、速度が遅いと手ブレしやすくなります。
手ブレになるSSの限界は「レンズの焦点距離と同じ」というのが一般的です。
50mmのレンズなら1/50、200mmなら1/200といった具合です。
ただし、これは飽くまでも目安で、ある程度は気合いで止めることもできますし最近はレンズにもカメラにも手ブレ補正が付いているものが多いので、その場合は更にSSを遅くすることも可能です。
そして、SSには露出以外にもう1つ役割があるのですが、今回は内容を最低限に絞りたいので敢えてここでは触れません。
もう1つの役割について詳しいサイトもたくさんありますし、ここでも改めて別記事にするかもしれません。
絞り(F値)の話
F値は、簡単に言うとレンズが光を通す穴の直径のことです。
(厳密に言うと難しい話になるのでこれくらいの理解で十分です)
レンズに内臓されている「絞り羽根」がレンズ内の直径を変えることで、光の量を調節します。
F値が小さい(絞りを開けている)と(F1.4とかF2.0とか)、開口部が大きいので明るくなります。
F値が大きい(絞っている)と(F8とかF11とか)、開口部が小さいので暗くなります。
【F1.4】開口部が大きいので光を通す量が多い。【F8】開口部が小さいので光を通す量が少ない。
レンズの中で螺旋状の「絞り羽根」が閉じているのが分かる。
最近のカメラでは、普段は最大に開口した状態(絞っていない)になっていて、シャッターを切る瞬間だけ、設定したF値まで絞りこまれます。
F値を大きく設定、SSを遅くしてレンズを正面から覗きながらシャッターを切ると、レンズの中で「絞り羽根」が絞りこまれるのが見えます。
また、レンズによってF値の上限下限は変わってきます。
F値にももう1つ役割があるのですが、これもSSと同じく、ここでは触れません。
写真を撮る上で避けては通れない話なのでいずれ記事にしたいと思います。
ISOの話
ISOは、センサーが光を感じとる感度のことです。
ISOが低ければ(ISO100とかISO200とか)、センサーが光を感じる感度が低いので暗くなります。
ISOが高ければ(ISO1600とかISO3200とか)、センサーが光を感じる感度が高いので明るくなります。
ISOをあげればいくらでも明るい写真が撮れるように思えますが、ISOの値が高くなるとノイズが発生し、画像が劣化するという特徴があります。
ノイズが出る基準はカメラによって変わりますが、一般的にはISO400〜800くらいが許容範囲と言われています。
マニュアルモードでもISOはオートにすることができますが、室内に入ったり、陽が落ちてきたときに気付かずにISOがあがっていて、ノイズだらけだった、ということがよくあるので、やはりISOも状況に合わせてマニュアルで設定するのがお勧めです。
ファインダーの違い
ここで一点触れておきたいのが、ファインダーの違いです。
現在主流になりつつあるミラーレス機では、電子ファインダーを使用しているため、カメラに設定した「露出」がそのままファインダーにも反映されます。
つまり、ファインダーでの見え方と撮れる写真が一致します。
一方、今まで一般的だった光学ファインダーは、カメラに設定した「露出」が反映されません。ファインダーでは普通に見えていても「露出」の設定が暗すぎれば、真っ暗な写真になります。
光学ファインダーでは、ファインダー内に表示される露出計を確認する癖をつけるか、背面液晶で確認するのがお勧めです。
【電子ファインダー】
【光学ファインダー】(これはフィルムカメラなので背面液晶もありません…)
まとめ
ここまで、露出を構成する3つの要素を説明してきました。
これらの要素は組み合わさっているので、1つの要素を好みの値に変えたら、他の要素で明るさを調整することになります。
具体的には、
①天気や明るさに合わせてISOを設定する。(晴天ならISO100か200、曇天や夕方ならISO400や800、室内だと1600など)
②F値を好みの値に設定する。
③被写体の明るさに合わせてSSを調整する。
というのがマニュアルモードで撮る時の一般的な流れになります。
暗くなってきてSSに手ブレの限界がきたらISOをあげることになります。
マニュアルで撮っていると、どの設定値で撮っているかを自然と意識するようになりますし、慣れてくると、その場の明るさや被写体に応じて自分の好みの露出を感覚的に身体が覚えてきます。
そう、露出というのは「これが正解」といった決められた値があるわけではなく、暗い写真が好きな人は暗くすればいいし、明るい写真が好きな人は明るくすればいい、自分が表現したい写真になるように自分で決めるものなんです。
この感覚は、もしこの先フィルムカメラを始めるような時にもとても役に立ちます。
マニュアルモードで撮ることを考えた時に、各メーカーでエントリーモデルと呼ばれる機種の多くは、マニュアルモードで撮る前提になっていません。
これまで説明してきた露出を構成する各要素を直接設定するための操作ボタンやダイヤルが少ないのです。
操作系がマニュアル前提になっているのは、ミドルクラスやハイアマチュアと呼ばれる機種からです。
Canonの現行機種でいうと、EOS80Dからがこれに当たります。
ミラーレスでいうと、操作系が統一されている傾向がありますが、SONYだと「α7ⅱ」、OLYMPUSだと「OM-D E-M5 Mark III」、FUJIFILMだと「X-T30」辺りからが快適にマニュアル撮影を楽しめる機種になるかと思います。
カメラは光を記録する道具なので、「露出」という光のコントロールをしっかり抑えておけば、色味やホワイトバランスはデジタルであれば後からでも調整ができます。
さぁ、カメラのモードダイヤルを(M)マニュアルにセット、SSとF値を調整しやすいようにボタンやダイヤルに設定して外へ撮りに出掛けましょう!
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