2015年 10月
薬師、黒部の辺りを歩きたいけど折立が遠いなーと地図を眺めていたら、折立より手前で黒部をぐるっと周回できるルートが見えた。
車移動なので、どうしても周回ルートで考えてしまう。あと有峰林道のように通行に時間制限があるとスタート時間が制限されるのであまり好きじゃない。
低気圧が通過中だけど、稜線に出る頃に秋晴れになると確信して夜出で車を走らせる。

行程
DAY1
飛越新道→神岡新道→北ノ俣岳→黒部五郎岳→黒部五郎小舎
DAY2
黒部五郎小舎→三俣山荘→黒部川源流→雲ノ平→薬師峠
DAY3
薬師峠→神岡新道→飛越新道
神岡新道
登山口となる飛越新道は折立より手前とはいえ、関東からだと十分遠い。安房トンネルを抜けて更に奥地へと車を走らせる。仕事終わりからの岐阜入りなので眠気がMAX。
有峰林道手前のトンネルの脇にある駐車スペースからトンネルの上を通過する飛越新道が始まる。飛越新道は途中で神岡新道と合流してそこからは神岡新道となる。
泥の道
軽く下調べしたところ、神岡新道はかなり道がぬかるんでいるようなので、ゲイターを用意した。更に裏表銀座縦走の経験から傘を持参。
低気圧が通過中なので天気は雨模様。稜線に近づくにつれて荒れるはず。稜線に出るまではカメラを出せなかった。早速傘が役に立つ。
飛越新道は両脇に笹が茂る典型的な低山の道。特に難所もなく神岡新道出合いに到達。
が、ここからが正に泥の道。泥っていうか沼。ベトナムのジャングル。行ったことないけど。
登山道全面が沼地化してて、ゲイターどころか場所によっては膝下までズブっと埋まる。しかも両脇は笹が密集してるので端を歩いて避けようがない。雨の日にここを歩くにはウェーダーが最適な気がする。
ゲイターのおかげでなんとか靴内には浸水せずに、北ノ俣岳避難小屋まで辿り着く。
北ノ俣岳避難小屋は三角屋根のかわいい建物。
北ノ俣岳
避難小屋からは登りになるので地獄の沼地はここまで。
が、雨脚が強まっているので登山道がほぼ川。川っていうか滝。濁流のような道をひたすら登る。風が強くないので傘をさせるのが救い。


稜線のシルエットがうっすら見えてきた辺りでやっと雨脚が弱まる。だんだんと雲が薄くなて明るくなるのが分かり、歩調と動悸が早まる。

稜線に出たところで測ったかのように雲が抜けて、さっきまでの嵐が嘘のように真っ青な秋の空がお目見得。これだから山はやめられない。

傘とゲイターのおかげで、装備はほぼ濡れずに済んでいる。これなら快適に幕営できそう。泥まみれのゲイターを水たまりで洗ってザックにぶら下げる。

ここからはお待ちかね、台風一過の稜線歩き。雨粒をまとった草黄葉が風になびいて美しいことこの上ない。

北ノ俣岳から黒部五郎岳までは、左手に薬師や雲ノ平、裏銀座の山々を望みながら緩やかな稜線を行く素晴らしい道行き。

黒部五郎岳
黒部五郎手前の中々男らしいドーンとした登りを詰めると、黒部五郎ノ肩に出る。ここから黒部五郎のカールが一望の元に見渡せる。


岩で構成された黒部五郎岳のピークは大展望。立山連峰、穂高連峰、遠くは白馬の山々まで。あまりに素晴らしいのでここで日没を迎えることにした。



刻一刻と色が変わっていく空と山肌を飽きることなく眺める。槍と大キレットが真っ赤に染まり、富山湾の方に陽が沈んでからやっと腰を上げて黒部五郎カールから今日の幕営地、黒部五郎小舎へ向かう。日中に歩かなかったことを少し後悔するほどカールは美しかった。


黒部五郎小舎はすでに小屋閉めしていると思ってたけど、まだスタッフが小屋閉め作業をしていた。声を掛けてテン場に幕営させてもらう。テン場は暗いのでよくわからなかったけど、フラットでペグもよく効いて張りやすかった。
2日目
2日目は、雲ノ平で朝陽を迎えるという目標があったので、未明にテントを撤収して歩き始める。ここで睡眠が足りなかったせいで薬師岳を諦めることになる。
黒部川源流
早朝発の難点は景色を楽しめないこと。明るいうちに歩いたら素晴らしいはずの道を、せめてヘッデンを消して月明かりを楽しみながら歩く。
目的があるので、三俣蓮華はパスして巻道を行く。ここも花畑の中に黒部川の源流となる小川が幾つも流れててとても綺麗。
夜も明けていないので三俣山荘へは寄らずに、そのまま黒部川渡渉点へと一旦高度を下げる。
ここでまた試練が。前日の雨で増水した渡渉点は水が濁流となって轟々と流れている。そこに細いロープがよく滑りそうな岩の上に一本ぷらーんと渡してある。
「え。これ?」
一応上流下流を少し歩いて見てみるも、まともに渡れそうなところはない。沢沿いに上流の岩苔乗越まで行くのは大幅なタイムロスなので仕方なく頼りないロープを伝って渡ることにする。まだ陽も上がってないうちにずぶ濡れになるのは結構ヤバイな、と思いつつそろりそろりと何とか滑らずに渡り切ってホッとする。
祖父岳山麓
渡渉点からは祖父岳の麓を標高差200mほどの急登を登りあげる。
急登を抜けると荒涼とした黒い岩が一面に広がるところに出る。風の音と自分の呼吸だけが聞こえるどこか他の惑星のような世界で、月の音まで聞こえるような気がした。
ここを歩いた時は、今までの山歩きの中で最も印象に残っている瞬間の一つ。
雲ノ平
祖父岳のピークはパスして雲ノ平山荘へと急ぐ。今回はあまりピークを踏まない山行になった。
スイス庭園の木道には霜が降り、池には氷が張っていた。もう山は冬支度。


段々と空が白んできたと思ったら、薬師岳が赤く染まり、昨日歩いた黒部五郎岳のピークに陽が当たる。間に合った。月を背後に背負って朝陽を浴びる雲ノ平山荘を前にしばし佇む。


時間が早すぎてカフェがやってなかったのが残念だけど前庭で朝食をとる。何かで建設当時の話を読んだけど、雲ノ平山荘は外見も内装もとても美しい造り。ここには次はテントを張りに来たい。

薬師峠
雲ノ平をあとにして今日の幕営地、薬師峠へ向かう。
薬師峠へは一旦薬師沢へ急な直線ルートを下る。ここがまた、苔むして落差が激しい中々に歩きづらい道。最初はここは登りで使いたくないと思ったけど、下りの方が神経を使うので疲れるかも。
薬師沢に出ると黒部川の美しい青く澄んだ流れが飛び込んでくる。ここは釣り人には天国かもしれない。昔渓流釣りを少しやっていたので竿を持って黒部に来てみたいなぁと思った。薬師沢小屋で一息ついてから今度は太郎平へと登り返す。

ゆるゆると高度を上げていく道なのに、寝不足のためかやたらキツかった記憶がある。東面を向いてるので日差しがきついのもあるかも。
何本か綺麗な沢を渡ると、広々とした太郎平に出て、太郎平小屋に到着。薬師峠のテン場はここで受付。木道を20分ほどで今日の幕営地、薬師峠のテン場に着く。ここのテン場は傾斜地が多い。メインのスペース以外にも結構あちこちに跳び地状に張れる場所がある。小屋から離れてるけどトイレと水場は一応近くにある。


早速テントを設営して空身になったところで、薬師岳へと脚を向ける、が、全然脚があがらない。さすがに未明から10時間近く歩いてきたので限界を迎えた模様。
仕方ないので太郎平の木道で日没を見送って大人しく休む。



3日目
3日目は神岡新道へと戻る。天気は下り坂で雲が垂れ込めている。
前日の疲れを引きずってるのか、中々しんどい思いで北ノ俣分岐まで到達。


まさかと思ったけど、二日間好天だったにもかかわらず、神岡新道は相も変わらず沼の道だった。さすがに行きよりは水が引いてたけど、ここがぬかるんでないのは冬だけなんじゃないだろうか。